子どもを育て日々家族の食事を作る「お母さん」は、食育のキーパーソン!でも、今お母さんたちもとっても忙しい・・・ということで、楽しみながら学びにつながるようなプログラムを、とチームメンバーでアイディアを寄せ合いました。
<プログラム>
1.マザーズカフェ実施について(二瓶陽子)
2.十余二小内の歯科指導について(花井恵美子養護教諭 ※学校より)
3.歯みがき粉づくりワークショップ(小林有希)
4.地元食材を使った森脇さんのランチボックス試食
5.野菜や畑についてのトーク(森脇菜採・今村直美・細渕有里)
6.ふり返り、シェアリング
前日(27日)に全体でのフューチャーセッションを終え、高まったテンションで迎えた28日当日、会場の家庭科室には参加者・スタッフ合わせて20名が集まりました。
はじめの熊谷校長先生のご挨拶では「日々の暮らしをふり返って」とのお話がありました。
【1.マザーズカフェ実施について】
まず、チームリーダーで十余二わくわく会スタッフでもある二瓶陽子が、“マザーズカフェ”実施の経緯についてお話しました。昨年度PTA内で展開していた「育てよう!心も身体も元気な子」の取り組みを継続し発展させるものであること、慌ただしい日常の中で少し立ちどまって、子どもを持つ母親同士ざっくばらんに交流しながら、何かしらヒントを得られるような場になれば・・・とお伝えしました。
【2.十余二小内の歯科指導について】
次に、花井恵美子養護教諭より、十余二小での歯科指導についてスライドを使ってお話いただきました。
保健所の歯科衛生士さんや担任の先生による歯みがき指導は、保護者が思っている以上にていねいで、驚きの声があがっていました。歯ブラシの選び方など、すぐに実践できるお話もうかがって「子どもの歯みがきにもっと注目し、習慣を大切にしたい」との声が寄せられました。
歯をみがく、という基本的な生活習慣が、むし歯を予防するだけではなく体全体の健康づくりにつながる、という花井先生のお話は胸にひびきます。花井先生がおっしゃるように、子どもの成長は「学校・家庭・地域」の協力によって守られていることを改めて実感しました。
【3.歯みがき粉づくりワークショップ】
歯みがきのお話をうかがったあとは、歯みがき粉づくりに挑戦です!
アロマセラピストの小林有希さんより、精油(アロマオイル)入りの歯みがき粉づくりについて、教えていただきました。
モンモリオナイトの土(カオリン)に、少しずつミネラルウォーターを入れて混ぜます。単純な作業ですが、ほとんどの参加者が初めての体験なだけに、「これくらいの硬さでいいのかな?」とお互いの容器をのぞきあう光景が見られました。
耳たぶより柔らかめの硬さになったら、精油をブレンドします。好きな香りを2種類選べるのですが、柑橘系の精油はどれもさわやかで、幸せな気分をもたらしてくれました。
また、小林さんより「経皮毒」についてのお話もあり、「アロマは健康に役立つ経皮吸収です」とのことで、体によいものなのだな、と家庭での使用が楽しみになりました。
【4.地元食材を使ったランチボックス試食】
さて歯みがき粉ができたら、いよいよランチボックスの試食です!
フードコミュニケーターの森脇菜採さんが、朝から20人分のお弁当を作ってきてくださいました。
食育チームメンバーで、農家の今村さん・細渕さんの畑“わが家のやおやさん 風の色”でとれた野菜を中心に地元食材にこだわり、ゴマまで柏産!素材の持つ味を活かしたメニューです。(大豆入り玄米ごはん、小松菜のおひたし、蒸した人参、焼きネギ、お麩のから揚げ、たくあん、など)
「こんなにおいしい小松菜ははじめて」
「お野菜が本当に甘いですね」
「心と愛情のこもったお食事に感動しました。素材を活かすことが何よりのごちそうですね」
と、感想が寄せられました。
土からこだわって作られた野菜は、力強くそして優しい味がします。
【5.畑や野菜についてのトーク】
ランチボックスをいただきながら、森脇菜採さん・今村直美さん・細渕有里さんより、野菜や畑についてのお話をうかがいまいした。
森脇さんからは、柏の農業についてお話いただきました。
近郊農業がさかんな柏は、少し足を伸ばせば畑や田んぼがあり、生産者と消費者の距離が近いことが特徴です。本当の意味で「顔の見える関係」が可能であり、新鮮で安全な食材を手に入れることができます。
いちご園での収穫体験や、畑での農業体験など、実体験をもとに「食」にふれることができるのは、
実はとても恵まれた環境です。
もっと身近には、例えば子どもと一緒に家庭菜園で野菜を育てたり、お店に買いに行ったりして、その野菜で料理をしてみるなどから、「食育」を初めてみるのもいいでしょう。子どもが、自分で自分のお弁当を作る「お弁当の日」という取り組みもあります。
今村さんは、「ライフスタイルを見直したい」という思いから、食に関心を持ち、4年前に新規就農されたそうです。
同じ小学生の子どもを持つ親として「つながりの中での子育て」について、沖縄へ旅行された際のお子さんと“おばあ”とのふれあいについてお話され、「うちの畑はいつだれが来てもいいようにしていたい」という言葉が印象的でした。
細渕さんは「この間の大雪にも耐えた野菜は強くて、じぶんを守ろうと甘みを増している」とお話され、まさにその野菜をいただいていた参加者は、感慨もひとしおでした。
“風の色”さんの畑は肥料にもこだわり、近くのお豆腐屋さんのおからなどを使われているとのこと。「つながり」の中で育まれている野菜や畑に、「今村さん、細渕さんの畑に遊びに行きたいです」との感想が寄せられました。
食材の生産者、調理担当者と「一緒に食べる」というのは、食の循環を実感できる貴重な体験でした。
【6.ふり返り、シェアリング】
さまざまなプログラムをすすめてきた“マザーズカフェ”も、あっというまにクロージングの時刻となりました。
せっかく参加してくださった方がたと、講師メンバー双方向の交流をはかるため、全員に付箋用紙に感想を書いてもらい、ひとりずつ発表してもらいました。
参加者の方から、「食にかかわるすべてのこと(歯・口・食材・土・環境・・・)がつながっていると再認識しました。・・・改めて食をとりまくことに対して関心を持ち、考えていきたいと思います」というコメントがあり、「食でつながる社会」をコンセプトとする食のフューチャーセンター柏の本質を受け止めていただけたと感じることができました。
講師メンバーからは「自分たちがやっていることへの再認識ができました」「たくさんの学びを逆にいただくことができました」との感想があり、お互いに良いフィードバックが得られた会となりました。
最後に、二瓶より「みなさん、お母さんとしての自信とプライドを持ってOKです!大変なときは、今日の出会いをどんどん使って、助け合って子育てしましょう」と呼びかけて、お開きとなりました。
またこの日は、柏市保健所より職員の方も1名参加してくださり、行政との連携をはかって、よりよいまちづくりへの一歩となりました。
このような、柏ならではの実体験に基づいた食育プログラムを通して、ひとりひとりの人が「自分にとっての豊かな食」を選び取れる知識と判断基準:フードリテラシー(Food Literacy)を持ち、大人も子どもも健やかな毎日が送れるようになるといいな、と思います。何より、食べることは楽しくて幸せですからね。
食を中心につながり、支え合い、学びあえる輪が、少しずつ柏の中に広がっていくことを願って、~Food Station かしわ~は、これからも活動していきます。
末尾になりましたが、新しい試みを温かく受け入れ、バックアップしてくださった熊谷校長先生に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。十余二わくわく会のみなさんも、おつかれさまでした。(下の写真は、校長先生が達筆で用意してくださっていた、案内看板です)
(Food Station かしわ 二瓶陽子)