2013年2月10日日曜日

食のフューチャーセンター第3回セッションを行いました!

「食」を通して
人がつながっていける
社会をめざして

 「食のフューチャーセンター柏」では、1月27日(土)午後2時から、柏の葉UDCKで『食でつながる社会』をテーマに第3回セッションを開催しました。今回は30人が参加。初めての方も多く集まりました。





 セッションでは「食のフューチャーセンター柏」がこれまで取り組んできた活動を報告するプレゼンと、参加者全員で新しいアイデアを寸劇形式で考えるワークショップが行われました。
 ワークショップの寸劇では、思わぬユーモラスな台詞に爆笑したり、夢に共感したり....。
「この夢、意外に実現しそう!」と、大いに盛り上がりました。
 セッションの後、「食のフューチャーセンター柏」Webサイトがお披露目されました。

【プログラム】
第一部:ショートプレゼンテーション
・代表プレゼン 山下洋輔さん:
・食育チームプレゼン 二瓶陽子さん:
・オープンコミュニティ食堂チームプレゼン 所英明さん
第二部:ワークショップ
・ワークショップ「『食でつながる社会』のストーリーをつくろう」
・ストーリー発表(寸劇)
・今後の活動やWebサイトのお披露目など

ここからは、当日のダイジェストをお送りします。

■第一部:ショートプレゼンテーション
当フューチャーセンターの運営およびチーム活動をおこなっているメンバーから、活動内容の紹介および今後の展望を語っていただきました。

 【代表プレゼン 山下洋輔さん】




 みずからが運営する『柏まちなかカレッジ』で市民に根ざした学びを実践するなかで、もっと直接的に世の中に働きかけていく方法を模索していました。そんな中で、欧州で盛んな『フューチャーセンター』という仕組みを知ったことが当フューチャーセンターの発足のきっかけでした。
 本場を視察しようと訪れたオランダでお会いした「フューチャーセンターネットワークアライアンス」代表のハンク氏からは「市民の手によるフューチャーセンターを実現してほしい。欧州ではできなかったが、日本の動きに期待している」という想いを託されたことも大きな転機でした。
 まず大事なのは中心に据えるテーマです。オランダから日本に帰ってきて、地方都市でありながら豊かな田園がすぐ近くに広がる柏の風景を目の当たりにして、「食」をテーマにしようという決意を新たにしました。
 フューチャーセンターが単なる話し合いと違うのは、さまざまな立場の当事者が、日頃の立場を離れ、組織の壁を越えて話し合う「場」であることです。
 最近「フューチャーセンター」という言葉が一般に広まってきましたが、単なる対話の手法のように扱われている状況をしばしば目にしますフューチャーセンターはあくまでも社会課題の解決のために機能するものと考えています。
 市民の手で社会に働きかけるための地に足のついた方法として、柏に根付いたフューチャーセンターを築いていきたいと考えています。そしてゆくゆくは、この仕組みを必要とする日本全国、全世界の地域にムーブメントを広げて行きたいと思っています。

 【チームリーダープレゼン】

 (食育チーム「Food Station かしわ」リーダー 二瓶陽子さん)



 このチームにはフードコミュニケーター、農家、食品スーパー社長など様々な立場のメンバーが集まっています。近郊農業が盛んな柏の地域性を生かして、子どもたちを対象にした料理教室、収穫体験など実体験にもとづいたフードリテラシー(食育)プログラムに取り組んでいます。
 直近では、明日(1月28日)十余二小学校で実施する保護者向けの食育講座のプログラム「Mother’s
Cafe」は、先生達の協力も得られたおかげで、とても良いものになると確認しています。

 (オープンコミュニティ食堂チーム「あめんぼう」リーダー 所英明さん)



 地域の大学学食の経営に関心を持ったことがきっかけで、食を通して人と人とが新たなつながりを作ることのできる場を柏に生み出したいと考えるようになり、オープンコミュニティ食堂チームのリーダーになりました。
 農家、放射線技師、商店経営者、大学院生など、多様なメンバーが集まって、いろいろな議論ができる場となっています。
 実際に「食堂」運営をおこなう第一弾として、中央官庁の社会実験とコラボするかたちで柏駅東口ウッドデッキでのオープンカフェを開催します。開催期間中には、市民みんなで「柏の食のマップ」を作り上げるというアイデアも実現しています。

 【パネルディスカッション】
 食のフューチャーセンターの各チームでアクティブに活躍している4人に登壇いただき、フューチャーセンターという場への期待、これから目指すことについて、語り合いました。








(食育チーム 森脇菜採さん)
 農家の人をはじめ、色々な人たちとつながりたいと思ったのが、フューチャーセンターに関わったきっかけです。食育チームでは、いろいろなバックグラウンドを持った人たちの素材がうまくかみ合って、良い形ができていると思う。
(オープンコミュニティ食堂チーム 山田さん)
 夜間中学に関わっていることから、「社会的包摂」というテーマに問題意識を持っている。食の場を通じて、孤独や飢えのない社会をつくりたい。「オープンコミュニティ食堂」はそういった社会的包摂に役立つ場になるのではないかと思っている。とにかく人手が足りないので、もっといろいろな人に参加してほしい。
(食育チーム 大瀬由生子さん)
 食の専門学校の講師をやっています。難しい理屈の前に、とにかくみんなで楽しく食べることが大事。
 秋をめどに、お母さんたちを対象に「おなかま」という、皆でご飯を食べるプロジェクトを始めます。
(運営チーム 山下洋輔さん)
 いろんな立場、考え方の人が、お互いにうまく調整しながら、やりたいことをやっていく、というのは大変だけれども、大事なこと。
 メンバーの持っている良いものは、どんどん出していただきたい。最終的には、運営チームがなくとも、街の中で各チームが活動していけるようになるのが理想です。


■第二部:ワークショップ
 今回のワークショップではグループに分かれてストーリーづくりを行い、作ったストーリーを寸劇形式で発表。
 テーマは「『食でつながる社会』が柏で生まれているシーンを創ってみよう」というもの。想いをもった主人公、出会う仲間、働きかけるキーパーソンなど、それぞれが役割を演じることで、目標の共有に取り組みました。




【ワークショップで発表されたストーリー】
(1)
 忙しいお母さんとお父さんにお金を与えられ一人ぼっちで夕食をとる少年のりお君が、「親の想いがこもった食卓を家族と囲みたい」と思っていたところ、近所の食堂のおばちゃんが営む「おなかま食堂」と出会います。お父さん、お母さんが食卓を囲む大切さに気づく、ということが実現しました!




(2)
 柏の市民(遊び人)が、レストラン店長・農家さんと出会い、そごうに働きかけ、スカイプラザ屋上の農園化と食のカルチャースクールのプログラムが実現。そして全国規模に広がりました!



(3)
 柏に長年住んでいる山田さんが、「柏でおふくろの味を創りたい」と思っていたところ、主婦の岸さん、フードコーディネーターの小林さんと出会い、カブ生産農家と自治会長の協力を得て、カブに特化したレシピを開発。大いに普及し、<柏の株が上がる>ということが実現しました!




(4)
 コミュニティカフェをつくりたいと考えていた女性が「老若男女が出会い、居場所となるコミュニティを実現したい」と思っていたところ、UDCKで想いを同じくする仲間と出会い、意気投合。
柏市役所の空き家情報を担当する課の職員に働きかけ、地域に根ざし、居場所になるようなカフェが実現しました!




(3)
 飲んだくれの辻さんが、「柏版ミシュランガイドを作りたい」と思っていたところ、
柏市内の農家、飲食店と組んで商工会議所、金融機関などに働きかけ、インターネット版「柏の食ガイド」が実現。各方面から注目を集めるようになりました!




どのチームも短時間でシナリオを考え、お芝居の練習をしたとは思えないほど完成度の高いもので、ユーモアたっぷりの情景に会場が大いに沸きました。寸劇ワークショップはただ楽しいだけでなく、「成功しているイメージ」をよりリアルに検証するために有効な手段でもあります。これをきっかけに「食でつながる社会」のアイデアがよりいっそう豊かなものになりました。今後の展開がとても楽しみです。